

『雪のなまえ』
村山由佳/著
「夢の田舎暮らし」を求めて父が突然会社を辞めた。いじめにあい登校できなくなった小学5年生の雪乃は、父とともに曾祖父母が住む長野で暮らし始め、仕事を続けたい母は東京に残ることになった。
胸いっぱいに苦しさを抱えていても、雪乃は思いを吐き出すことができない。そんな雪乃の凍った心を溶かしてくれたのは、長野の大自然、地元の人々、そして同級生大輝との出会いだった――。


©露木聡子
1964年生まれ。立教大学卒業。『天使の卵 エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞受賞。『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞を受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズ、『Row&Row』『二人キリ』『PRIZE』など著書多数。また、エッセイに『猫がいなけりゃ息もできない』『もみじの言いぶん』などがある。
受賞コメント
『雪のなまえ』は、もとは「日本農業新聞」の連載小説として生まれました。
毎日、大地を相手にする仕事へと出かけてゆく読者さんたちに、また明日の朝が楽しみになるようなひとときを届けたくて書き綴った物語です。
国が〈農〉を大切にしなくなっている今だからこそなおさら、この作品で素晴らしい賞を頂けたことが嬉しくてなりません。
小学生の雪乃が、大自然と人に揉まれてつかみとった〈ほんとうのこと〉。あらためて、多くの皆さんのもとへ届きますように。
選評
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ときわ書房本店 宇田川拓也さん
第7章のラストで頬が濡れに濡れた。
本作に込められた優しさは、多くのひとに必要とされるものと断言!! -
八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店 狩野大樹さん
色々つまっている作品。家族とは、社会とは、農業とは、いじめとは。読んでいてすごく心をうたれました。紹介していただき感謝です。彼らのこの後も気になります。